発症について ②
前回の続きです。
心理検査の結果、統合失調症と診断され、あまり実感のないまま通院を開始しました。
その頃書き留めていたメモを引用して、当時の状況を振り返ってみたいと思います。
まずは血液検査の結果です。
「拒食期とは違う値、中性脂肪、コレステロール、アミラーゼなどが悪いようだった。中性脂肪は、基準値上限の1.75倍。これ以上高くなったり、低くならなかったりしたら薬を飲む必要があるとのことだった。膵臓が良くないようだった。」
このメモからも明らかなように、この頃は過食に悩まされていました。
拒食が強かったうちは、主治医の先生からは主に電解質バランスを崩さないように毎回注意されていました。
この頃は低カリウムを指摘されていないようなので、電解質バランスの問題は過食によって解消されていたのだと思います。
中性脂肪が高いのは、脂肪分や糖類が多量に含まれるものばかり選んで過食していたためだと思います。
話が脱線しますが、拒食を続けていると当然適切な食事は摂取できないわけですから、ミネラルが不足します。
そのため体内の電解質バランスが崩れる場合が多いようです。
よく先生は、「体内の電解質バランスが保たれていないと、心室細動の危険性が高まる。拒食の患者さんは、入院になるほどには痩せていなくても、昨日まで元気に動いていても、突然ポッと亡くなることがあるんだよね。」と仰っていました。
(ただこのように聞いたことがあるだけで、正しい機序は全く知りません。)
拒食をしていて、痙攣が足のつま先から次第にお腹まで上がってきたり、心臓が数秒止まった感じがして苦しくなったり、そんなことがおありだと思います。
「もしかしていよいよ死ぬのかな?」という気持ちになりますよね。
それは電解質バランスが崩れていて、身体が悲鳴をあげているのかもしれません。
ナトリウムやカリウムの値には十分注意する必要があると思います。
それではメモの引用を続けます。
「唐突に叫ぶ、泣き出す、幼児退行する。目眩。頭がぐちゃぐちゃに掻き回される。身体の中に勝手に色んなものが飛び込んでくる。口が無限に広がっていって元に戻らない。嘲笑、噂話。殺意を感じる。窓の外や部屋のすみに黒いもや、夜中に起きると天井に大きい黒い蟻や蜘蛛がいて目が合う。曲がりたくもない道で曲がらされる。トイレにいけない。」
この頃になると被害妄想が強くなっているようです。
「唐突に」とあるように、脈絡なく叫んだり泣いたりしていると自覚していることが伺えます。
またあえてこのようなメモを残しているということは、妄想や幻聴、幻視であることに気がついていた部分もあるのだと思います。
全くの現実ではないと気づきながらも、実際に聞こえるし見えるしということで、混乱していたと思います。
メモにはありませんが、次のような悩みもありました。
・聞いた音が立体的な文字になって頭に入ってくる。しばらく消えずに頭の中を回っている。
・部屋を移動するたびに、夢で殺した男の子の声がする。
・背後から刺されて殺されるので外に出られない。
実に統合失調症らしい悩みだと思います。らしいというのもなんですが……
私が不思議に思うのは、天井にいた虫がなぜ蛾やゴキブリではなかったのだろうということです。
私は蟻と蜘蛛よりも、蛾やゴキブリの方が怖いです。
なので「嫌なもの、怖いもの」が天井に見えるならば、蛾やゴキブリである方が自然だと思うのです。
勿論、最近はこのような幻視はありません。
続きます。
──